秋篠宮家の親王殿下のご誕生をお祝いして――日本政府へのアドヴァイス
秋篠宮家に、新しい親王殿下がお生まれになりました。まずは、心より「おめでとうございます」と申し上げたいと思います。
ドイツに暮らしておりますと、皇室の慶事があるたびに、ドイツの人からよく話を聞かれます。知日家の人に、「おめでとう」と挨拶されることもあります。今ではもう慣れてしまいましたが、渡独した当初は、日本の皇室に対する注目度が予想以上に高いことに、新鮮な驚きを感じたものです。
その理由に関してきちんと調査したことがあるわけではありませんが、若干私見を述べてみると、まず第一に、一般に、ヨーロッパのインテリ層は他文化に対して寄せる関心がたいへんに高いということが挙げられます。新聞などでも、クオリティペーパーでは、日本の皇室の話題は割と好んで取り上げられます。
次に、ヨーロッパ人は、概して伝統をとても大切にする人々であるということが挙げられるかもしれません。一つの家系で125代も継続している日本の皇統というのは、価値判断抜きに単純な事実として驚異であり、世界中を探してもこれに匹敵する王朝は存在しないと思います。そして、これに「古いものほど良いもの」という価値判断が加わると、「たいへん良いもの」という評価になります。ヨーロッパ人自身も自分たちの王朝を大切にし、実際、ヨーロッパには世界の他のどこよりも多くの君主国が存在するわけですが、それらの王朝よりもはるかに長い王朝が遥かかなたの極東にあるということは、ポジティヴな驚嘆の念を生むのかもしれません。
いずれにせよ、日本人自身はあまり気づいていないかもしれませんが、実際のところ、日本という国は伝統をたいへん大切にする国であるということです。そして、そのことに鑑みれば、日本の国の政治というのは、その事実をよくふまえて行わなければならないということがいえます。
実は、昔の人はそのことがよく分かっていました。例えば、明治維新による近代化は、王政を「復古」し、幕府が統治権を天皇に「奉還」する――つまり、正統な伝統に「帰る」という形でなされたために、うまくいったのです。つまり、伝統を大切にするエートスの国民に対して新しいことを行いたいときには、表向きは「古いものに帰るのだ」とデモンストレーションをしながら新しいことをやると、大概抵抗を受けずにうまくことを運ぶことができるのです。






