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2006年09月18日 - エッセイ

ヨーロッパの文化的距離感

渡部桂子

ヨーロッパ大陸は、地球上の7つの大陸の中では、もっとも小さい大陸である。そのもっとも小さな大陸が、大航海時代を境に世界各地に進出したことから、あたかも蜃気楼のように大きく見えている今日、わたしは、留学生としてこの大陸の住民になっている。

この大陸のほぼ真ん中の豊かな国、フランスがわたしの留学地だが、このフランスには、実にさまざまな大陸からの人々がやってくる。かつては、ヨーロッパの中では貧しい国々であった、イタリア、ポルトガル、ポーランドなどからの移民が多かったが、現在では、アフリカ大陸、アラブ諸国からの移民が目立つ。

飛行機が毎日何便も飛び立ち、地球が小さくなったように感じる今日、人々の交流の活発化から、人々の間の文化的な距離も縮まったのだろうか? 世界地図の縮図のようなパリは、この疑問に答えるための実験都市として感じられる。

日本に住んでいると、日本とヨーロッパが距離的に遠いことから、ヨーロッパの中の違いが見えにくい。しかし、こちらに住むと、ヨーロッパの中の違いがとてもはっきりと感じられる。小さい大陸の陸続きなのに、言葉が通じないのはもちろんのこと、習慣も、礼儀正しさを感じる感性も、食事に対する感性も、時間に対する考え方も違う。ひと括りに「文化が違う」と言ってしまっては、大まかすぎて、その違いを感じることができなくなってしまう。

海に囲まれた日本では「他の大陸との差があるのが当然だ」という認識になってしまうが、こちらでは、隣りの村同士が違う風習・言葉・感性を保っている場合もある。その自己主張の強い文化が、お互いに切磋琢磨して、弱肉強食の世界で現在にまで生き残ったものを、わたしは目の前にしている。隣村なのに、絶対に相容れないよう努力し、自己主張をする――受け入れたら、自分の文化がなくなってしまう。時には自分の国がなくなってしまう!

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