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2006年10月16日 - 社説

サブカルチャー発信国としての日本――麻生外務大臣の秋葉原演説を機縁に

中村匡志(本紙編集長)

サブカルチャーというのは、世論形成にたいへん大きな影響をもっている可能性がある。

例えば、映画はサブカルチャー・メディアの一つであるが、一方で、『ラストサムライ』が封切られれば、日本に対するポジティヴなイメージが世界中にバラ撒かれることになるのに対し、他方で、『パールハーバー』が封切られれば、日本に対するネガティヴなイメージが世界中にバラ撒かれることになる。そういう意味で、覇権国である合衆国が、映画というメディアの世界の圧倒的な発信地であるハリウッドを持っていることは、たいへんに意味のあることといえる。

例えば、何らかの地球的危機(隕石の衝突でも何でもよい)に対して合衆国が地球を救う、というシナリオの映画を世界中で公開すれば、「合衆国は地球の救う国」であるかのようなイメージがバラ撒かれる。もちろん、このようなバラ撒きが常に成功するとは限らないが、合衆国がこういう「手段」を持っていることは、国際政治的に見ても大変に強みであると思われる。

それでは、日本にはハリウッドに匹敵するサブカルチャーを持っていないのだろうか。それが、大いに持っているのである。

第一に、マンガである。世界的にマンガの有名な国といえば、アメリカ、ベルギー、日本といったところであろうが、何と言っても日本のマンガは、質・量ともに他を凌駕している。日本のマンガはものすごい勢いで世界の至るところに発信されており、ヨーロッパでも日本のマンガが大量に翻訳されて売られている。

第二に、アニメである。圧倒的なマンガ文化を基盤に、良質な映像作成技術や多彩な声優などの要素が加わることにより、日本では良質なアニメを作成し続けている。ヨーロッパのテレビ放送では、日本のアニメが数多く翻訳されて放送されているし、宮崎駿のアニメ映画なども各地で公開されている。

第三に、ゲームである。任天堂のファミコン(欧州ではニンテンドー・エンターテイメント・システムと呼ばれる)を嚆矢として、セガサターンやプレイステーションなど、ゲームの世界ではこれでもかというくらい日本のメーカーが世界を席巻している。

したがって、日本は、合衆国にとっての映画に匹敵する、否、それを超えるかもしれない強力なサブカルチャー・メディアを保有しているといえるだろう。これは、日本にとって大きな強みである。したがって、日本という国の国家戦略としても、このサブカルチャー・メディアをいかに有効に活用していくかということは、きわめて重要なことなのではないかと思われる。

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