2007年03月09日 - 社説
〔社説〕ドイツの戦争責任に関するギリシャ人の訴えを退けた、欧州司法裁判所の良識ある判断を歓迎する
さる2月15日に、ドイツの戦争責任に関する一つの判決が欧州司法裁判所で下された。判決は、現在の国際法の基本的な枠組にのっとった良識あるものであり、また、その帰結も欧州の平和に資するものであり、妥当である。したがって、国際法による正義を尊重し、平和を愛好する本紙としては、この判決を大いに歓迎したい。
事案は、概ね次のようなものである。1943年12月13日にギリシャのカラヴリタ(Kalavrita)で起こったとされる虐殺について、その被害者とされる人々が、1995年にドイツ連邦共和国政府に対し、その損害賠償請求を求めて訴訟を起こした。何やらわが国の「従軍慰安婦」訴訟に似ているようだが、一つだけ大きな違いがある。
それは、「従軍慰安婦」訴訟が、賠償を求められる側の国である日本国の裁判所に提起されたのに対して、この裁判は、賠償を求める側の国であるギリシャの裁判所に提起されたという点である。この違いは、法的には大きな意味を持つ。
すなわち、現在の国際法上認められている重要な原則の一つに、主権免除という原則がある。これは、国家の主権平等の原則(par in parem non habet imperium)のコロラリーとして導かれるもので、要するに、「国家は他の国家を裁けない」というものである。つまり、ある国は、自分の国の裁判所で他の国を裁判にかけてはならないのである。したがって、A国の裁判所にB国を被告とする訴えが提起されても、A国の裁判所はこれを「裁判権が及ばない」として、却下しなければならないのである。






